今は自粛中ですが、宴会のスタートはビールで乾杯というのがほとんどでした。ビールが好きでない人も、酎ハイとか炭酸系のカクテルで参加します。ちょっとおしゃれな会ではシャンパンなどスパークリングワインですね。昨今、お家で晩酌が増えた皆さんも、スタートはビールという人が多いと聞きます。つまり、炭酸系の飲み物を選ぶことが、半ば決まりになっています。みんな炭酸が好きなんですね。
お酒を飲み始めるタイミングは、一日の仕事が終わって、お家でゆっくりし始めるときですから、大抵は若干ののどの渇きを覚えていることがほとんどだと思います。そこへのどに刺激を与える炭酸系のお酒を飲むと、そののど越しによって渇きが癒え、爽快な気分になります。この感じをみんな忘れられず、大いに期待してビールなどを選ぶのです。極端な言い方をする人は、ビールは1杯目がすべてとつぶやきます。
それに、炭酸系のお酒は、和洋中のさまざまな料理の味を邪魔しないという特質もあります。炭酸のおかげで口の中がさっぱりするという効果のためと思われます。
そんな多くの利点があるためか、最近はビールだけでなく、ウイスキーで作るハイボールや、微炭酸系の日本酒なども人気です。さらに、炭酸水だけを何も混ぜずに飲むことも人気が出て、各社、強力な炭酸水を売り出しています。みんな炭酸好きなんですね。
ところで、炭酸系のお酒として、ビールと並んで、昔から飲まれているものに酎ハイがあります。焼酎、それも工場で作る醸造アルコールである甲類焼酎を炭酸水で割ったものです。甲類焼酎は香りに乏しく、味もありません。レモンなどの果汁を加えたりするので、レモンハイとか呼んだりします。今は、缶入りで売られているので、レモンハイがどういう手順で作られたお酒か、知らない若者も増えています。
言うまでもなく酎ハイは、焼酎ハイボールという飲み物の名前を詰めた呼び方です。昔、ウイスキーは高かったので、正統派ハイボールはなかなか手が出ません。でも、炭酸は欲しい、というので、大衆の味方、焼酎を炭酸水で割って代用したのです。代用の方がすっかり有名になり定着した後に、真正ハイボールが復活しました。今は、さまざまな炭酸系が楽しめる時代です。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)