新型コロナウイルスの感染は、一昨年の2月から6回の感染拡大とその収束を繰り返してきました。より正確に述べると、全国的には2020年3月、7月、10月、21年の4月、7月をそれぞれ起点とする5回の感染拡大の波が起こりました。そこで、第1波から第5波とそれぞれ呼ばれています。
しかし、ことはそんなに簡単ではなく、北海道は少し異なっています。北海道の第1波は20年2月に訪れました。その後、全国と同期して4月に第2波が来ました。しかし、7月には感染拡大がなく、全国が第3波となった10月に第3波となり、それ以後は全国と波の数が同じになりました。
都道府県レベルで見ると、他の県でも、全国と同期せず、感染拡大が見られないことが散見されました。この辺りが、感染拡大を予想するときの困難さの一つです。
ではそもそも、なぜ感染拡大の波が起こるのでしょうか。この2年間の動向を見ていると、強力な感染力を持つ変異株が出現するかどうかにかかっているように思われます。
北海道の第1波は中国武漢由来のオリジナルともいえる株の拡大でした。第2波はヨーロッパとアメリカで急激な感染拡大を引き起こした欧州型といわれる変異株でした。本州の第3波は東京で発見された変異株の拡大と考えられ、この株が北海道に進出したのは10月でした。
しかし、10月、11月にこの株は全国的に再拡大し、年末年始の第3波となりました。そして、冬に上陸したアルファ株によって4月の第4波、さらにデルタ株による第5波が形成されたのです。
こうした感染波がなぜいったん収束するのかというと、各人の感染対策の徹底、外出自粛などの行動制限、感染者の隔離、そして無症状者を含めた一定の人数に感染することで、免疫力を持つ人が多くなり移りにくくなるということが組み合わさって、収束に至ると思われます。第5波では、これに加えてワクチン接種が進んだことが大きかったと思われます。
さて、現状は第6波の入り口といえます。原因は新たな変異株であるオミクロン株の上陸です。この株は、これまでのワクチンの2回接種だけでは効力が落ちることが分かっていますので、3回目のワクチン接種が広がるまで、拡大し続ける危険性があります。これまでと同じように各人の感染対策の継続が重要です。マスク着用、手指消毒、そして室内の換気に気を配ってください。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)