アウトドアグッズ展開も開始
建築資材や鉄骨階段などを製造する世良鉄工(本社・当麻)は、住宅の基礎間に取り付ける鋼製床下梁「セラフレーム」の販売に力を入れている。地盤改良に施す費用や工期を短縮できる技術で、大手住宅メーカーも使用。最近はたき火台の製造に乗りだし、アウトドアグッズの展開も始めた。
1940年に創業し、79年に株式会社化。この頃から建築資材の製造を始めた。社員数は10人で、直近の売上高は2億1000万円。
主力商品のセラフレームは、基礎の両立ち上がり部分に取り付ける。従来の束施工に代わり、基礎間を架け橋のようにつなげるため、凍上や地盤沈下に伴う不具合に対応できる。

主力商品のセラフレームは品質管理を徹底し、
取引先からの信頼も厚い
軟弱地盤に住宅を建てる場合、基礎の中間部分は2m置きに地中杭を打ち込む必要があるが、セラフレームを使用すれば杭の本数を削減できることから、地盤改良に伴う費用の削減が可能。取り付けも5分程度のため、工期短縮につながる。
2017年に北海道発明協会会長賞を受賞。ミサワホームやスウェーデンハウスなど住宅メーカーに製品を卸している。
3代目の三上正幸社長(44)は青森県出身。県内の中小企業組合で技能実習生受け入れの業務に携わった後、2代目社長の娘と結婚し、跡取りとして11年に入社。17年に代表取締役に就任した。

三上社長
求められる製品の品質が厳格化する中、質を落とさずに手際よく製品を仕上げることが業界で生き残る道だと考えたという。
この一環で3年前から、電子端末を活用した品質管理に取り組む。製品にはバーコードを取り付け、社員はタブレットから、担当した製品の寸法などを入力し、データとして収集。手書きだった書面のチェック作業をデジタル化した結果、「労力を半分ほど省略できた。クレームが入っても、すぐに製品情報を確認できる」と効果を実感している。集めた情報はデータベースに活用し、過去の品質情報を瞬時に確かめることが可能になった。
今後の目標は製品販売網の拡大。「取引先が限られていると、万が一のときにピンチに陥る。販売チャネルが多数ある方が経営的には安心だ」。新たな市場開拓のため、自ら建築資材の展示会に参加して商品を売り込む姿勢を示す。
アウトドアグッズを作り出したのもその一環。21年に導入したレーザー加工機を使い、「浮いた労力で何か新しい事業ができないかと考えた」という。
3カ月の試行錯誤を経て完成したたき火台「アイアンオーブン」はオーブン機能を搭載し、ピザを焼ける。40秒で組み立てることができ、コンパクトに収納することも可能だ。
昨年12月にネットショップを開設し、40台ほど販売。町民からも好評で、町のアウトドアショップでも販売を始めた。さらに多くのアウトドアショップへ搬入を見据える。
建築資材とアウトドア用品では顧客層が大きく異なるが、「アウトドアグッズでファンができれば、知名度も上がり相乗効果が期待できるかもしれない。今までの技術で挑戦を重ねれば、新しい発見が見つかる」と意気込む。