会社探訪記

 地域に根差した企業を不定期で紹介します。

会社探訪記 YSE 情報収集 半歩でも先へ

2022年02月14日 12時00分

農業分野注力、農家の手助けに

 YSE(本社・札幌)は、バイク部品・用品卸のほか、建材、電動カート、除排雪など幅広く手掛ける。最近は農業分野に力を入れ、肥料散布用ドローンや大型ビニールハウスなどを提案する。安江真社長は「経営者は情報収集と歩み続けることが第一で、半歩でも進まないと駄目。アンテナは常に張り巡らしている」と話す。

北海道神宮第一鳥居そばに本社を構える

 北海道神宮の第一鳥居近くに本社を構える。自転車部品・用品卸の野口商会(本社・東京)の北海道地区販売会社「株式会社北海道ノグチ」の会社名で、1975年6月に創業した。

 安江社長は1940年11月、伊達市生まれの81歳。本州の大学を卒業後、両親が野口商会を営むクラスメートの誘いで、同社に入社。35歳のころ北海道へのUターンを決意し、道内の拠点作りを考えていた野口商会と思惑が一致したため、北海道ノグチ社長として自転車やオートバイ部品の卸会社に商品を供給する「大卸」を始める。

 70年代は北海道でもスーパーマーケットが出始め、多くの主婦や子どもがショッピングに行くために自転車を買い求めた。市場はにぎわったが、嗅覚の鋭い大手スーパーが自転車を販売するようになり、個人経営の自転車店はどんどん廃業に追い込まれた。

 業界大不況の中、自転車部品の卸会社は相次ぎ廃業し、大卸の北海道ノグチも行き詰まった。降雪に見舞われる北海道は商戦が4―10月と限られ、本州と違って通年で自転車を売れないこともネックだった。

 社員の給料を維持するため、日立建機のホイールローダ・ZW100を購入し、民間向けに除排雪業務を始めた。全道の介護事業者に向けて、電動カートのリース業も始めた。

 2003年、自身の名字から採って「株式会社YSE(ワイ・エス・イー)」に社名変更した。バイク部品卸にとらわれず、ウレタン吹き付け防水工事やスノーホッケー用品販売など幅広く展開。年商は18年9月で3億円を上げるまでになった。

「経営者は半歩でも進まないと駄目」と安江社長

 近年はアグリ分野に積極的だ。YSEハウスは、鉄骨並みの強度と耐久性を持ちながら安価に導入できる全天候型の多目的ビニールハウス。牛舎や農機保管庫のほか、乗馬クラブが屋内練習場などで使っている。

 日々の営業活動で農業関係者と多く接するようになり、「農家の苦労が報われるよう貢献したい」という思いから、ハイブリッドドローンを扱うようになった。発電機とバッテリーを搭載し、ガソリンと電気の併用で最大ペイロード25㌔、30分飛行を実現する。

 軽トラックに載せられる大きさも特長。農業分野で一般的な無人ヘリより安価に導入でき、規定の操縦資格を取得すれば、必要なときに必要な分だけ肥料や粒剤を散布できる。

 バイク部品の大卸として創業から45年余り、会社は先々を考えながら多分野へ果敢に挑み、堅実に成長した。安江社長は「企業は永続しなければ意味がない。次世代にしっかり渡せる企業作りが使命で、今後も社員と仕入先、お客さんの三方良しの経営を心掛けたい」と話している。


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