コロナ感染拡大は、ついに第7波となり、全国的に過去最高の感染者数を毎日のように更新する事態となっています。現在優勢な変異株はオミクロン・BA5で、これの強い感染力が感染拡大の主な原因となっています。ここまで感染者が多くなると、割合的には低くても、重症者や死者の数も多くなってきますので、やはり深刻な状況といえるでしょう。特に東京や沖縄では医療崩壊といわれるような状況になりつつあり、発熱外来や救急車がパンク状態となっています。
BA5の特徴として明らかになっているのは、のどの痛み、咳など、のどや鼻の症状が強いということです。ということは、ウイルスはのどや鼻にたくさんいて、呼吸や咳で吐き出される飛沫(ひまつ)に含まれるウイルス量が多くなると推定されます。
おそらく、これが強い感染力の原因となっているようです。つまり、これまで以上に空気中にウイルスが多く、長く、漂いやすくなるので、エアロゾル感染の危険性が非常に高まっているということです。エアロゾル感染の危険性を減らす一番の方策は、換気を頻繁に行い、漂うウイルスを排除してしまうことです。
実は、一昨年の7月から8月にかけて第2波、昨年の同期に第5波の感染拡大がありました。この時、東京や大阪などで深刻な状況となったのですが、北海道では拡大はあったものの、重症者や死者は、低いレベルにとどまっています。
これは、夏の暑さと冷房に関係があると思われます。北海道は冷房の普及率が低く、夏に窓を開け放していることが多いからです。北海道の夏は十分に換気されているといえるのです。これが、北海道では第7波の感染者数が、第6波と同程度にとどまっていることの原因と思われます。
第7波の感染対策として、これまで以上に換気が重要であると思われます。特に冷房完備となっているオフィス、大規模商業施設、公共交通機関、飲食店、学校での換気をより効果的に行うかどうかが、重要になってきます。
そして、もし、外気を取り入れることができない構造である場合は、全員のマスク着用が必要になるでしょう。パーティションは、むしろ、換気を妨げることがあるので、必ずしも必要ではありません。とにかく換気に気を配り、感染対策を見直しましょう。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)