「ことづくり」企業目指す
グローバルニーズ(本社・札幌)は、刻々と変化する社会や暮らしの困りごとを解決するソリューション企業。「安心・安全・効率」を最重要視し、ドローンと空間衛生の2本柱で事業を進める。吉田賢一社長は「ドローンや空衛機器の優れた使い方を広め、ものづくりならぬ〝ことづくり〟を推進したい」と話す。
2021年6月に設立した。吉田社長は温水暖房設備機器の製造・販売に20年以上携わった後、52歳で独立。コロナ禍で在宅期間が増え、いろいろと考えるうちにドローンを中心とした起業への思いが強くなった。
事業は、ドローンと空間衛生の2本柱。このうちドローンは「ドローン減災士」の道内資格者第1号で、既存の防災士と並び自治体の防災訓練で連携するなど、地域の災害対応力の強化で原動力になることが期待される。災害に関する幅広い知識から防災・減災活動に必要なノウハウ、ドローンの専門的な操縦技術など総合的に備えた人に与えられる資格だ。

ドローン減災士として地域の災害対応力の強化に貢献したいと考える
一般的なドローン空撮に加え、非GPS環境下の屋内空間向けにマイクロドローンを活用した点検業務も進める。「これまで目視点検が難しかった建物や設備の高所・狭あい部について、足場を設置することなく点検したり調査するニーズに応えたい」と吉田社長。「人間で言う健康診断と一緒。いきなり治療や手術をするのではなく、将来の改修や修繕計画を立てる上でドローンを活用することは有効」と説く。何より人間を危険にさらすことなく安全で効率よく作業できるのがドローンの強みだと示す。
ドローンで撮った映像を転送するため、陸上特殊無線技士の資格も保有。将来を見据え、国産ドローンに特化した販売にも力を入れる。
空間衛生は、酸化チタンによる光触媒コーティング「ナノゾーンコート」と、光触媒&イオンクラスター空気清浄機「アルキュア」を扱う。長らく公共施設や医療機関などの温水暖房設備機器に携わったノウハウを背景に、ウィズコロナ時代は空間衛生の確保が必須になると考え、自身で全国の除菌製品を探し回った。
ナノゾーンコートは、酸化チタンの光触媒作用で菌やウイルスを低減するコーティング剤。抗菌効果を保ちながら花粉やVOC、カビなどを継続的に抑える。カケンテストセンターに依頼した黄色ぶどう球菌の不活性化試験で除菌率98%以上を確認した。専用のスプレーガンで塗布する責任施工で、効果は2年ほど持続する。
アルキュアは、1台で最大1100m²をカバーする高い給気能力が特長で、人が多く集まる大空間で特段の効果を発揮する。きれいな空気を最大45mまで送ることができ、除菌システムは光触媒とイオンのハイブリッドで、空気をろ過するフィルターはHEPAを含む4層と盤石。大量の空気を短時間に浄化して窓を開けた自然換気に近い空気清浄を実現するため、夏のエアコンや冬の暖房など熱エネルギーの無駄を防ぐ。主にマスクを外す機会の多いホテルのラウンジや食事会場などで設置を勧める。
「安心・安全・効率」をモットーに掲げる。「建設業界にいたため安心・安全は筆頭と考える。さらに効率が良くないと余計な人の手や時間、コストがかかる。小回りの利く小規模事業者の強みを生かしたい」と意欲を見せる。

小回りの利く強みを生かしたいと話す吉田社長
グローバルニーズの社名には「広い視野で社会を捉え、新しいニーズを発掘したい」という自身の意気込みを込めた。そんな中、最近は将来の電気自動車の普及を見据え、急速充電器の取り扱いを開始。「顧客の気付いていないところを提案して結びつけていく〝ことづくり〟企業を目指す」と話す。