もうすぐバレンタインデーです。バレンタインデーといえばチョコレート。実家がケーキやお菓子を扱うお店だったので、バレンタインデーの前には、チョコレートの売り上げが伸びて、それなりに忙しかった覚えがあります。手伝いに店に出て、近所の女の子にチョコレートを売るのが、とても恥ずかしかったですね。もちろん、当日、私の元にチョコレートなぞ一個も来ませんでしたが。
チョコレートはかつて悪者でした。おいしいから子供が食べ始めると止まらなくなってしまい、ご飯そっちのけになるからだったのでしょうか。とにかく食べ過ぎは良くない、鼻血が出る、虫歯になる、眠れなくなる、太る、等々。まあ、罵詈(ばり)雑言ですよね。これらのいわば害とされるものは、全くと言っていいほど起きません。そんなに悪いものだったら、人がチョコレートを食べ続けられるわけがありません。
最近は、むしろ、チョコレートが体に良いものであるという意見、報告が多くなっています。言うまでもなく、チョコレートの原料はカカオです。カカオにはカカオポリフェノールと呼ばれる成分がたくさん入っていますが、動脈硬化予防、アレルギー改善、肌老化予防の作用が報告されています。さらに、最新の研究では血圧低下、善玉コレステロール増加、慢性炎症を抑制する、といったより具体的な効果が示されました。
一方、カカオにはテオブロミンという成分が含まれていて、これがリラックス効果を示し、イライラを抑制するといわれ、全体的には抗ストレス効果を示します。毎日健康に仕事を続けるには、うってつけの食品と言えそうです。
もちろん、あまり大量に食べると、チョコレートに含まれている糖分や乳脂肪分の大量摂取につながるので、気を付けなければならないと思いますが、ご飯そっちのけでチョコレートばかり食べているわけもないので、普通に食べる分には心配ないでしょう。ただ、チョコレートはケーキなど他のお菓子と組み合わせることが多く、お菓子として食べ過ぎになる危険性がありますので、お気を付けください。
最近はカカオの含有量を増加して、より健康志向になったチョコレートが発売になり、人気だとか。バレンタインデーをきっかけにチョコレート健康法を実践するのも手ですね。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)