米国の歌手アリアナ・グランデさんは、その飛び抜けた歌唱力と華やかさからマライア・キャリーの再来とも呼ばれているそうだ。そういえばうちの娘もよく聴いているな―と思い出す人も多いのでないか
▼実質的なデビュー曲は2013年発表の「ザ・ウェイ」。この中で彼女はこんな趣旨のことを歌っていた。「あなたが望むなら、私は毎日でもそうする。いつもあなたのそばにいる。決して離れることはない」。きっとアリアナさんは今も、そんな心境にあるのではないか。5月22日に発生した自爆テロで犠牲になった人々らのための慈善コンサートを4日、現地マンチェスターで開くことに決めたという。英BBCニュースが伝えていた
▼自身のコンサート終了直後に起こったテロである。子どもや若い女性を中心に22人もの犠牲者が出た。それだけに驚きや悲しみはひとしおだったろう。恐怖感も小さくなかったはず。なのにテロには屈せず、現地に戻って多くの人と思いを分かち合おうというのである。彼女の勇気をたたえたい。慈善コンサートの題名は「ワン・ラブ・マンチェスター」。アリアナさんに共感し、カナダのジャスティン・ビーバーさんや米国のケイティー・ペリーさん、英国のコールドプレイらも顔をそろえるそうだ
▼収益は全て、マンチェスター市と英赤十字が設立した緊急基金に寄付されるという。心配なのは再度のテロ攻撃。関係者は万全を期していよう。何事もなければいいのだが。音楽の力で自由と平和を守る。アリアナさんの願いが無事かなうことを祈るばかりだ。