北海道150年を支える~地域発展のストーリー

北海道150年を支える~地域発展のストーリー ①札幌駅

2018年08月20日 11時21分

新幹線延伸で変わる道都

■将来見据えた大東案 駅南側未利用地で再開発機運高まる

 2018年3月、道都・札幌の玄関口である札幌駅に将来の姿が示された。30年度末までに開業を目指す北海道新幹線の発着するホーム位置が、創成川をまたぐ、いわゆる大東案で決定した。15年にJR北海道が認可案である現駅併設案以外のホーム位置を検討の俎上(そじょう)に載せて以降、最良のホーム位置を巡る議論は2年半にも及び、国から示されたタイムリミットぎりぎりで決着に至った。

 確かに現駅案は乗客の利便性や建設費という面、そして現在の駅舎位置を考慮して市街地形成を果たしてきた従来からの都市計画の面でも、合理的な案であることを多くの関係者が認めていた。

 しかし、JR北海道はこれに異を唱えた。現駅案では、在来線コンコースなどでグループ会社が運営する店舗なども整備範囲に入るため、経営が厳しい同社にとって収益減を招くといった内情もあるが、最も関係者に響いた指摘は「拡張性の低さ」だった。

新幹線乗り入れで利用者増加が期待される札幌駅

 年々増加するインバウンドを含む観光客。既に現駅舎のコンコースは過密状態で、店舗の拡張も限定的だ。今後、さらなる観光振興とグローバル化を目指す本道にとって、現段階で駅の収容力に拡張の余地を残さないことは致命的な選択になりかねない。これから冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指すことを考えるとなおさらだ。

 さらには、新幹線ホームを現駅よりも東側にずらすことで、創成川東側エリアに市街地が拡大していくことへの期待も高まり、関係者は大東案の〝可能性〟に賭けた。

 3月17日、ホーム位置議論の最終局面となった関係5者と経済界との懇談会。乗客の利便性を考慮した「シームレスな交通」という交通施策で最も重要視される要素を抑えてまでも、13年後の将来を見据えて北海道にふさわしい「顔」を想像して大東案が評価された。

 新幹線ホームは開拓の象徴である創成川に架かり、過去と未来を感じられる空間となるだろう。

 本道経済の中心地として成長し続けてきた札幌。ホーム位置決定から、駅南側の未利用地では再開発の機運が一気に高まっていて、周辺でも今後の新幹線開業をにらんで投資意欲が膨らんでいる。

開拓期からの交通要衝

■成功した民衆駅形式 商業施設併設する現在に発展

 札幌駅は、1880(明治13)年に小樽の手宮と札幌間に開通した官営幌内鉄道の終点として「札幌駅停車場」という名称で誕生した。初代駅舎は仮の建物で、2代目は2年後の82年に完成。道内初の鉄道として石炭運搬を担い、北海道開拓を支えた幌内鉄道の拠点となった。

 その後、幌内鉄道の民営化とともに札幌駅も88年に北有社、89年には北海道炭礦鉄道に所有が移った。火災による建て替えで1908(明治41)年には3代目の駅舎が完成。明治末期に建造された荘厳な洋風建物は現在、北海道開拓の村の正門を兼ねた施設として復元されている。

 52年には4代目駅舎が完成した。当初はRC造、地下1地上4階の建物で、65年に5階建てにかさ上げ。白壁も青いタイル張りへと変わり、懐かしい先代駅舎へと姿を変える。

半世紀前の札幌駅。市電が駅前を通っている

 北海道鉄道観光資源研究会の永山茂代表は、「4代目駅舎の形態が、その後の駅の原形になった」と話す。地下にステーションデパートが入居し、駅舎の一部を部外者が使用する〝民衆駅〟のスタイルを全国的にも早い段階で採用。その成功が複合商業施設を併設する現駅舎の基となり、他の道内駅にも広がった。

 永山氏は「それまで函館を起点としたダイヤ編成が、75年から札幌中心に変わった」とも述べる。この改正で札幌駅は名実ともに道内の交通拠点という地位を確立。隣地にデパートやオフィスビル建設が進んで周辺は本道経済の中心地に成長する。

 78年、加速度的に発展する札幌中心部で線路の連続立体交差化事業がスタート。これに伴い現在の5代目は高架駅として、88年に1次開業した。その後、大丸札幌店や札幌ステラプレイス、JRタワーが竣工した。これら施設は都市景観に配慮し、高層のJRタワーを駅前通から東側にずらすことで空が見える空間を確保。自由で開放的な札幌らしい風景を演出している。

 本道の歴史で常に交通の要衝として、経済・産業の拠点として親しまれてきた札幌駅。いま、観光客の増加や人口減少・高齢化という波の中で公共交通の重要性が見直されている。本道の発展に向けて、道民の足を確保し、全道各地へと観光客を送る鉄路への期待は一層高まり、札幌駅が担う役割はますます大きくなる。

(建設・行政部 佐々木潤記者)


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