北海道150年を支える~地域発展のストーリー

北海道150年を支える~地域発展のストーリー ⑤釧路港

2018年08月24日 10時00分

国際バルク戦略港整備

■世界と渡り合う港に 農業飼料基地へ西港で大型船舶対応

 国際バルク戦略港湾に指定された釧路港の西港区第2ふ頭。釧路開建が整備したマイナス14m岸壁ではアンローダー(荷役機械)を据え付けていた。農業飼料基地として世界と渡り合う力を持った港の2018年度中の供用開始へ向け急ピッチで作業が進められている。

 国際バルク戦略港湾は、船舶の大型化が進み穀物などのバルク(ばら積み)貨物分野で国際的競争力を確保するため、パナマックス級など大型船舶に対応した施設を集中的に整備する成長戦略の一環。

供用開始に向け荷役機械の設置が進んでいる

 国内随一の酪農地帯を背後に控える釧路港は穀物の最大輸入元である北米から最も距離が近い点などを評価され11年度に穀物分野で指定を受け、14年度に事業化した。

 釧路開建は、延長300mにわたるマイナス14m岸壁、同航路・泊地24万3000m²を整備。その中でもマイナス14m岸壁は、岸壁上部の施工期間短縮や経済性を考慮し、ジャケット式桟橋を採用。道内での施工は追直漁港、函館漁港に続いて3例目となる。浚渫も18年度内に全て終える見通しとなっている。

 釧路市と港湾利用事業者などで組織する第三セクターの釧路西港開発埠頭は、定格荷揚げ能力が1時間当たり800㌧のアンローダー1基、整備延長約900mに上るベルトコンベヤーの整備を担当。ベルトコンベヤーは同ふ頭で創業しているサイロ会社の倉庫などに接続し、雨風にさらされることなく搬入できるシステムを構築する。

 一方、国際バルク戦略港湾以外では、第2ふ頭で既存泊地の水深確保を目的としたマイナス12m泊地浚渫や静穏度向上と漂砂解消に向けた延長1800mの新西防波堤の整備と島防波堤の調査が進められている。

 釧路港は国際バルク戦略港湾の供用開始とともに新たな時代を迎える。日本の食料供給基地として東北海道の酪農産品を送り出すため、穀物飼料を安価で安定的に供給する拠点として重要な役割を担う。その能力を最大限に生かすには背後地の輸送力を強化する高規格道路網の早期整備が必須だ。パナマ運河拡張後の船舶大型化に向けたマイナス16m岸壁など国際バルク戦略港湾2期整備にも期待がかかる。

江戸時代から交易拠点に

■石炭、製紙、水産で発展 今後はRORO船耐震岸壁が焦点

 江戸時代、釧路川の河口付近には松前藩とアイヌが交易を行う「クスリ場所」が置かれていた。厚岸、根室方面や釧路川をさかのぼってオホーツク方面とを連絡する交通の要衝でもあった。

 釧路港が発展するきっかけの一つが、弟子屈町川湯で採掘されていた硫黄。1887(明治20)年に事業を引き継いだ安田善次郎は、鉱山から精錬所のある標茶までは鉄道、そこから釧路川を河口まで小型蒸気船で運搬するという体制を整えた。精錬や運搬に使う燃料として、釧路での石炭採掘も本格化した。

 こうした背景もあり、釧路港は90年に特別輸出港指定、97年に定期航路開設、99年に普通貿易港指定という流れで開港。鉄道の開通、製紙工場操業などを経て、1909(明治42)年には港の修築事業がスタートした。

 釧路港初の本格的な修築計画は1887年、北海道庁が雇った英国人技師のC・S・メークがまとめたものだが、これは実現しなかった。小樽港北防波堤整備で知られる広井勇は、97年の精密調査に基づき新たな計画を策定するも、1904年の日露戦争開戦で着工見送り。07年には釧路築港事務所の初代所長・関屋忠正が、広井案を修正した計画をまとめている。

明治末期の釧路港(釧路開建釧路港湾事務所提供)

 釧路は石炭、製紙、水産といった基幹産業を背景に発展。第2次世界大戦では空襲で大打撃を受けたが、51(昭和26)年には重要港湾指定を受けるまでに復興を遂げた。

 69年には西港区の埋め立て工事が始まる。第1埠頭(ふとう)は75年、第2埠頭は81年、第3埠頭は95年に完成。道東初のマイナス14m岸壁を備えた第4埠頭は、2002(平成14)年に一部供用開始している。

 釧路川河口の東港区で耐震・旅客船ターミナルが完成した11年は、穀物分野で国際バルク戦略港湾に指定され、釧路港港湾計画も改定されるという大きな節目となった。

 国際バルク戦略港湾の整備が一段落すれば、今後は第4埠頭西側のRORO船用マイナス9m耐震岸壁整備が焦点。新西防波堤新設や島防波堤延伸による静穏度確保が前提だが、東港区の耐震岸壁が緊急物資の取り扱い拠点であるのに対し、こちらは釧路港が担う物流機能を非常時にも最低限維持することを目標としている。釧路港の役割はますます重要性を増す。

(釧路支社 武弓弘和、石黒俊太記者)


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