建設新聞で読み解く あのときの札幌

シリーズ「建設新聞で読み解く あのときの札幌」

 1960、70年代の札幌では、ダイナミックな建設投資が行われ、今日の発展を支える多くの都市施設が整備されました。当時の様子を北海道建設新聞の記事とともに振り返えるこの連載は「e-kensin」限定の企画です。

第18回「五輪を支えた都市施設〈道路①〉」

2019年06月16日 12時00分

 1972年2月開催の冬季五輪に合わせ、札幌では多くの道路整備が行われた。その計画は、オリンピック村と各競技場を結ぶもの、観客用車両の流れを円滑にするものといった大会用途に限定することなく策定され、道都・札幌の将来を見据えた交通基盤がこのとき生まれている。

 組織委に「道路小委員会」

 1966年4月の五輪招致決定を受け、同年7月、運営組織の「札幌オリンピック冬季大会組織委員会」が発足した。道路の整備構想は、組織委の下部組織「関連施設専門委員会」に設けられた「道路小委員会」が中心となって検討。国、道、札幌市の担当者や学識経験者ら26人で組織する道路小委の第1回会合は、同年12月5日に開かれている。

 その内容を伝える同月6日付の本紙。記事は「真駒内、大倉山、手稲の会場にいたる一般観客用の道路として都市部、駅と会場間には、国道その他一般交通を支える幹線道路とは別に、各方面ごとに十分な交通容量をもつ道路を整備する」など8項目の基本方針を伝えている。

五輪関連道路の基本方針を報じた1966年12月6日付 ※クリックで拡大

 
 将来の地域開発を念頭に

 道路小委は67年2月3日、第2回会合を開き、第1回会合で固めた「基本方針」を「整備方針」に改め、関連施設専門委に答申。これを受けた関連施設専門委は同日の第2回会合で検討を加え、「関連道路整備方針」として組織委会長に答申した。この整備方針は同月6日の組織委第5回実行委員会で了承されている。

 9項目から成る整備方針は、「オリンピック村と各会場を結ぶもの」「各会場を相互に結ぶもの」「都心部交通機関とオリンピック村および各会場をむすぶもの」という道路小委が第1回会合でまとめた基本方針を踏襲する内容となっているが、最後の項目は「道路の整備にあたっては、単に本大会の用途に限定することなく、将来にわたって地域開発のために活用し得るよう慎重に構想し、それぞれの目的に応じて十分な規模を採用すること」とし、将来の交通事情にも対応する方針を掲げている。
 
 「五百億円の巨費」

 五輪関連道路は、国(北海道開発局)、日本道路公団、道、札幌市が、それぞれ所管する路線の施工を担った。早いものは1967年度に着工したが、多くが翌68年度以降に本格化している。68年8月8日付には「五輪関連道路の全容」と見出しを立てた記事が登場。事業規模については「ざつと五百億円の巨費を投下する予定だ」と記す。

五輪関連道路の「全容」を伝える1968年8月8日付

 この記事を引きながら、所管別に主な道路整備を見てみる。

 まず開発局は、札幌新道と創成川幹線の2路線。札幌新道は「札樽バイパス(小樽―手稲宮の沢間)と国土開発幹線自動車道(千歳―広島―大曲間)を結びつける北回りバイパス(手稲宮の沢―大曲間)二六・五㌔のうち宮の沢―石狩街道間六・二㌔をオリンピツクまで完成させようというもの」。激増する札幌市周辺道路交通の円滑化と、都心への交通集中の緩和を目的としたもので、68年度は用地買収費など4億円が予算化され、「明年度から本格的工事がはじまる」と伝える。

 区間内には宮の沢高架橋や発寒高架橋など5カ所の架橋、3カ所の横断歩道橋、2カ所の地下歩道橋を築造。68~71年度に投じた予算は82億2800万円に上る。

 

1968年8月8日付の本紙記事に添えられた「オリンピック関連主要路線図」

札幌新道の発寒高架橋。右側上部を走るのが札樽自動車道(2019年6月撮影)

南北結ぶ幹線を6車線化

 創成川幹線(北海道開発局施工分)は、札幌新道と札幌都心を結ぶ約4㎞。札幌市内を南北に結ぶ主要ルートで、終点は市施工の創成川通の施工区間と接続する。「起点は北三十四条から終点北五条陸橋までの区間で、拡幅、二次改築の工事が主体である」と記事は報じる。新たに3車線を築造し、既存の石狩街道と合わせ、6車線の整備を行った。工事には32億1900万円を充てた。

 「第11回オリンピック冬季大会 札幌市報告書」(札幌市オリンピック整理室編)によると、この2つの路線の一部には軟弱地盤があったため、「地盤処理に苦慮した」とある。また短期間の用地買収や家屋移転補償を余儀なくされ、「特に地主との折衝が最も難儀した」と振り返る。

札幌新道の開通式(1971年11月13日付)

 開発局はこのほか、5号(第1鳥居―札幌新道間)約4㎞、12号(東橋―西野白石線間)5.5㎞、36号(北1条―南4条間、農林試験場―大曲間)8.5㎞、230号(北1条―南大通間、南6条―五輪駐車場間)6.8㎞、支笏湖周辺道路(オコタンペ―恵庭岳間)5.7㎞を67~71年度に整備している。

 多くの大型作工物築造

 日本道路公団は、札樽バイパス(札幌小樽道路、現在の札樽自動車道)と、国土開発幹線自動車道建設法に基づく北海道縦貫自動車の高速道路2路線を施工した。札樽バイパスは「小樽市若竹町から手稲町上手稲までの全長二四㌔」で、区間内には橋梁23カ所、トンネル3カ所の大物作工物を築造した。総事業費は75億円。

 北海道縦貫自動車は「札幌大曲を起点に千歳までを結ぶ」延長25㎞。68年4月に着工し、4車線のうち2車線を五輪までに整備し、大会時には,臨時国際空港として指定を受けた千歳空港(当時)や道南方面と札幌を結ぶ輸送路として利用された。

 注目の都心アクセス道路

 五輪開催に合わせて誕生したこれらの道路。50年に近い年月を経て、新たな整備構想が浮上している。中でも注目されているのが「札幌都心アクセス道路」だ。

 ルートは札樽自動車道の札幌北ICがある北34条付近から北3条付近までの約4㎞。「創成川幹線」の再整備、機能強化といったところだろう。現在、構造に関して「地下」「一部高架」「上下線構造分離」「現道活用」の4案が示され、北海道新幹線の札幌延伸、開業に合わせた整備が期待されている。

現在の「創成川幹線」。北34条東1丁目付近から札幌都心方面を望む(2019年6月撮影)

 

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