深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 商工中金 田岡靖之札幌支店長

2023年02月17日 10時00分

田岡靖之札幌支店長

全国ネットで取引先紹介

 中小企業向けの政府系金融機関、商工組合中央金庫(商工中金)が全国の地方銀行や信用金庫との連携を深めている。1月には北洋銀行、北海道銀行と、「ウィズコロナ」時代に向けた融資先企業支援で協力契約を結んだ。同庫は全国に100店舗強、職員3500人を有する大組織。本道でどのような事業を展開しているのか、田岡靖之札幌支店長(51)に尋ねた。

 ―道内での営業体制は。

 札幌支店のほか旭川、函館、帯広に支店、釧路に営業所がある。人員は全道およそ100人で、全国転勤の職員、道内勤務の職員が混ざって働いている。融資先業種は国内全体では製造業が多いが、道内は産業構造の特性から小売り、宿泊、飲食などのサービス業向けが金額ベースで約4割を占める。

 建設業向けはやや少なく、全国でも道内でも全体の3%ぐらいだ。当金庫のお客さまは長期融資ニーズがある業種が多く、例えば工事のための一時的な運転資金貸し付けなどの短期融資は少ないのかもしれない。

 ―一般の銀行や信金との違いは。

 融資対象を、その業界や地域の協同組合、商工組合といった中小企業団体に加入する企業に限っている。これは私たちの成り立ちが、昭和恐慌後の混乱の中、商工事業者が自分たちの資金繰りを支えようと発足したことから来ている。当金庫の株主は中小企業団体で、その構成員に融資をするのが役目だ。

 ―コロナ禍で融資先が急増したそうだが。

 これまで接点のなかった道内企業からも資金繰りの相談を多くいただいた。北海道は観光や消費サービス関連業種の割合が大きい分、コロナの影響を強く受けた。製造業なら生産を一時止めても後で増産して追いつく可能性があるが、飲食などはそのときのニーズがすべて。久しぶりの来店客が過去の分も合わせて2人前を食べたりはせず、失った売り上げは取り戻しにくい。昨秋終了した「ゼロゼロ融資」について言うと、道内は全国に比べても期限直前まで利用希望があった。

 ―道内地銀と連携するのもコロナが背景にあるそうだが。

 コロナで本業が不振に陥り、回復に至らない企業がまだ多い。この状況での融資は、いわば血を流している人に、止血しないまま輸血をするのに等しい。まずは止血。経営を安定させるための支援が必要だ。企業はある程度の規模になれば複数の金融機関から融資を受けるのが一般的で、地域金融機関と私たちが同じ企業に貸し出しているケースも多い。融資先の経営再建のために金融機関同士で情報交換し、それぞれの強みを生かして支援に当たる考えだ。

 ―商工中金の強みは。

 地銀、信金が持つきめ細かな地域経済情報、地元人脈にも基づく深い知見にはかなわない。一方で、新たな取引先や専門家の紹介については私たちの全国ネットワークが生かせる。SDGsや従業員満足度に関する経営診断でもノウハウがある。近年深刻な事業承継問題では、道外で担い手候補を探すこともあり得る。

 ―ご自身は大阪から赴任して2年弱。北海道暮らしは初めてだとか。

 旅行で来たことがある程度だったが、住んでみて最高だと感じている。以前勤務した福岡にも言えることで、外から来た人間を温かく受け入れる気質が素晴らしい。道内経済は観光関連がコロナで痛手を負った分、インバウンドの再開などで今後の回復には期待を持てる。私たちとしても道内企業の支援にあらためて力を入れたい。

(聞き手・吉村 慎司)

 田岡靖之(たおか・やすゆき)1971年10月、香川県生まれ。94年大阪大法卒、商工中金入庫。2014年総務部次長、17年福井支店長、19年大阪支店営業第一部長などを経て21年4月から現職。

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