深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り ホッコウ 宮本悦朗社長

2019年12月13日 10時00分

宮本悦朗社長

流通見据えた計画生産

 温室など農業施設の設計、施工を手掛けるホッコウ(本社・札幌)は、グループ企業や系列法人を通して生産から流通まで幅広く担う総合農業企業だ。主力はレタスやトマトなどの野菜で、年間出荷額は前年比2桁増が続く。3年前からは海外での生産協力にも取り組む。宮本悦朗社長(72)に事業への考え方を聞いた。

 ―グループはどんな体制か。

 農業施設を造る親会社ホッコウと生産物の流通を担当する子会社のアド・ワン、それから直接の資本関係はないが農業生産法人のアド・ワン・ファームの3社が中核となっている。農業生産法人は自社農場以外にもJFEエンジニアリングと合弁でJファーム(苫小牧)を立ち上げ、苫小牧と札幌の植物工場で生産している。2018年春には石屋製菓などとの共同出資で北海道150年ファーム(札幌)を設立し、バニラ生産を始めた。

 ―流通子会社のアド・ワンは何を。

 農業生産法人が育てた野菜を買い取り、大手スーパーを含む全国の小売業に直接出荷する。提携グループ農場の産品も買い取って流通させている。

 アド・ワン最大の役割は、どの農場でいつ何を作るか、それをどこにいくらで売るか、綿密な生産計画を立て、指揮することだ。過剰生産や機会ロスの発生を防ぐためで、農場の状況を確認しながら絶えず調整している。空港の管制塔のようなものだ。出荷額は昨年通年で約15億円。ことしは17億円に届きそうだ。

 ―提携農場は道内のみか。

 道外も増えてきた。同じ作物でも、例えば冬なら沖縄で育てた方が4倍生育が速いといったことが起こる。でも夏の沖縄だと暑すぎて栽培に適さないなど、季節と地域特性によって柔軟に生産体制を組むことで合理的な事業ができる。私たちは産地から近い消費地に出荷する考えで、西日本の生産者から京阪神のマーケットに流通させる例などが出てきている。

 ―ロシア、モンゴル、ベトナムでも事業展開している。

 北海道銀行系列の北海道総合商事と縁があって、16年、ロシアのサハ共和国で地元企業などと植物工場1棟を開設した。真冬の気温がマイナス50度近くになる地でトマトの通年栽培に成功して、内外で報道された。

 ロシアでの評判を聞きつけたモンゴルの事業者から要請があり、技術供与の形で、18年からウランバートル近郊でレタス生産を始めた。ベトナムでは総合商事とアド・ワン・ファーム、地元企業で合弁会社を設立し、これも18年からトマトやキュウリを作っている。

 ―海外事業は新たな収益の柱になりそうか。

 海外はオファーを受けて協力している状態で、もうけようとは考えていない。ただ、地球規模で考えたとき、食べ物は貿易で何千㌔も輸送するより、消費地の近くで生産し、自給する流れになるだろう。

 かつては極端に人件費の低い新興国で生産して輸出すればよかったかもしれないが、新興国も成長し、先進国とのコスト差が縮まって、貿易のメリットは今後薄まる。輸送にはお金も時間もかかり、そのコストを負担するのは消費者だ。自給へのシフトに対する協力は、商売とは別次元で考えたい。(聞き手・吉村 慎司)

 宮本悦朗(みやもと・えつろう)1947年10月札幌市生まれ。北海学園大経済学部卒業後、農業支援団体に18年勤務。88年にホッコウ創業、代表取締役社長に就任。


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