
山本宗吾支店長
賃貸中心に投資進める
不動産デベロッパー、サムティ(本社・大阪)の札幌支店が開設から5年経過した。これまで主に投資用の賃貸マンション開発を進めてきたが、大通公園エリアで道内1棟目となるオフィスビルの新築を進めるなど事業領域を広げている。コロナ禍でも賃貸住宅を中心に投資を推し進める山本宗吾支店統括本部札幌支店長に今後の事業展開などを聞いた。
―道内で主に力を入れている開発事業は。
弊社が企画・開発ノウハウを培ってきた不動産ファンド向けの賃貸マンション「S―RESIDENCE(エスレジデンス)」に力を入れている。従来はワンルームをメインとしてきたが、道内では札幌市内を中心にエリア特性に応じたファミリーマンション計画や、1階へのテナント誘致などをして収益性を高めている。
―大通公園に近い大通西5丁目でオフィス開発を進めている。
道内で初めて開発するオフィスビル建設が、10月末の竣工を目指して進んでいる。テナント入居の問い合わせは多く、高稼働でスタートできそうだ。建設地を大通に決めたのは、札幌のビジネスエリアがJR札幌駅、大通に集積していると感じたから。情報収集に努めて好立地な案件を探した。札幌は首都圏に次いで空室率が低いため、良い場所が見つかれば2棟目も考えている。そのためにも1棟目を確実に成功させたい。
―新型コロナウイルスの影響をどう受け止めるか。
投資マインドが冷え込んでいるかといえばそうではない。特に住宅関連は新型コロナの影響を受けていないように感じている。売り上げが大きく落ち込んだ商業やホテルと比較して安定稼働が見込める住宅や物流施設に注目度は変わっているのではないか。
ホテルに関していえば、北海道には自然や食といった魅力的な観光資源があることから、不動産需要に一時的な落ち込みがあったとしても必ず復調すると信じている。弊社もビジネス、観光の需要を取り込もうと探索しているため、状況を見ながら良い物件があればホテル投資を積極的にしたい。
―コロナ禍の中、道内でどのような事業展開を。
弊社の物件が選ばれるためにも外観やデザインだけでなく、分譲マンションに負けない設備を取り入れて差別化を図りたい。立地も重要で、札幌市内は主に中央区で地下鉄駅10分圏内の場所を検討したい。最近では新札幌、苗穂などで再開発が相次いでいて、こうしたエリア周辺に注目している。
賃貸マンションでは非接触のキーシステム導入など、利便性の高い設備を導入する対策も重要だ。弊社が開発した物件で非接触システムを設置した例はあり、非常に好評だった。ICTやIoTなどの新技術を取り入れてアピールポイントを増やしたいと思っている。
道内で20棟ほど賃貸マンションを保有し、稼働率は90―95%と高水準を維持している。築年数が経過した物件はリノベーションなどの工夫をしている。今後も延べ2000―4000m²台の賃貸住宅を中心に開発を進めたい。
(聞き手・武山 勝宣)
山本宗吾(やまもと・そうご)1975年5月6日生まれ。2001年3月に福井大院修了後、神戸市内の設計事務所勤務を経て、08年にサムティに入社。15年支店開設時に札幌に着任し、19年3月から現職。
(北海道建設新聞2020年7月17日付2面より)