道内地方都市にも光
道内で大型物流施設やマンション、ホテル、商業施設などの複合開発を多数手掛けている大和ハウス工業北海道支社。これまで札幌市内が中心だったタワーマンションの新築を旭川市内で初めて計画するなど、地方都市への投資にも目を配っている。コロナ禍で生活様式が変化する中、今後のまちづくりの在り方を渡辺靖彦北海道支社長に聞いた。
―札幌市内で多くの再開発を手掛けている。
医療モールや商業施設、住宅、マンションと全体を絡めたまちづくりにこれからも貢献したい。札幌だと地下鉄10分圏内といった利便性を考えないと実現できないと思っている。どこかの官舎、社宅の跡地といった広大な土地があったとして、「どうにかできないか」という話があれば戸建てからマンション、店舗などをいろいろ絡めたものを提案できる。こういった取り組みを意識してやりたい。
当面は札幌での開発が中心になるが、旭川、帯広、苫小牧、小樽、釧路、函館をはじめとする道内の主要都市にも注目している。いずれも一定程度の人口を維持していて、都市計画もうまく進行している。投資が集中するニセコについては、新型コロナウイルスの影響でインバウンドが止まっている状況のため、事業展開は様子を見ながらになるだろう。
―旭川市内で初となるタワーマンションの計画を進めている。
旭川は道内で第二の都市であり、将来、道北の中心として発展することは間違いないと思っている。タワーマンションにすることで、周辺エリアに付加価値やステータス性を与えることができる。そこに住みたいという人が増えれば、JR旭川駅前はにぎやかになるし、商店街も潤うのではないか。
購入者を考えると、セカンドハウスや投資目的もあるだろう。地方には1次産業などに携わる富裕層はたくさんいるためニーズはある。「(開発して)大丈夫か」という心配する声は聞いているが、そこまで悲観的には思っていない。超高層マンションの建設例がないことから、最初にやることに意義があると考えている。
―札幌圏でマルチテナント型物流施設の投資を強めている。
道内の1次産業は驚くほど盛んで、2、3次産業を組み合わせた6次化ができればもっと発展する。特に2次産業がまだまだ成長すると見込んでいて、そこに必要なのが物流倉庫だ。その支援をしたい。また、コロナ禍の影響で「巣ごもり」の環境になって売れているものは生活必需品。ほとんどがインターネットを経由して手元に運ばれている。
今後は、倉庫が店舗の役割を果たし、直接配送される時代になるだろう。大型倉庫だけでなく、小型、中型の倉庫も必要になる。札幌で倉庫賃料はまだ低いが、相場が上がってくれば、供給を考えたい。
―コロナ禍にある中、どのようにまちづくりに関わるのか。
新型コロナの影響で、テレワークを取り入れる企業は増えてきた。コロナがいつ収束するのか読めないことからも、本州から北海道に来て仕事をする時代が来てもおかしくないと思う。テレワーク、リモートワークが主流になりつつある中で、こうした動きに備えたまちづくりの考え方やコンセプトを煮詰めたい。
(聞き手・武山 勝宣)
渡辺靖彦(わたなべ・のぶひこ)1965年生まれ55歳、茨城県出身。91年に大和ハウス工業に入社し、つくば学園営業所(現つくば支社)に配属。4月1日に現職。
(北海道建設新聞2020年9月16日付2面より)