深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り MUJI HOUSE 川内浩司取締役

2021年09月15日 15時00分

川内浩司取締役

住む人の暮らしを豊かに

 道内初進出となる「無印良品の家」が5日、上士幌町で着工した。2004年に発売して以来、寒冷地対応の課題から青森県を北限に全国で約3000棟が建てられている。良品計画(本社・東京)の住宅部門であるMUJI HOUSE(同)の川内浩司取締役に道内展開への戦略や目標を聞いた。

 ―道内で建てる無印良品の家とは。

 販売中の4種のうち最も断熱性能が高い「窓の家」から投入する。本州向けの仕様では道内の厳寒期に対応できないため、以前から付き合いがあった土屋ホームと開発を進めている。冷暖房効率の高い窓は、大きさと設置場所が自由で全て特注品。三角形の屋根は、積雪地域向けに角度を調整する。22年4月の供用開始後も道民に喜ばれる家を模索し、いずれは道内全域に全種を供給したい。

 ―他に建設候補地はあったのか。

 建設地は、人口規模や新規の住宅着工数を問わず幅広く検討していた。長らく道内進出は目標に掲げていたため、立地面で社内の反対はなかった。
 現在は本州を中心に28社と組み、道内を除く全国で年間約300棟を建てている。道内は、初進出のニュースが流れる前から展開を希望する声がある。上士幌町でニーズを把握した上で、販売拠点やパートナーとなる工務店を検討する。

 ―上士幌町に興味を持った理由を。

 2棟構成の企業滞在型交流施設の計画が目に留まった。当社は公共空間のデザインや別荘建設に携わった実績がある。上士幌町は人口が増えている珍しい地域で、シェアオフィスなどワーケーション施設整備に積極的。一昔前までテレワークはクリエーティブ職の働き方というイメージが強かったが、コロナ禍の影響から幅広い職種で採用されている。

 建設地に隣接する「道の駅かみしほろ」は国道241号沿いで人が集まる場所。建物は旅行や帰省で立ち寄った人の目に触れやすい。全国から訪れた利用者が家だけでなく、無印良品の家具や食器に囲まれた生活を体験できる施設になるだろう。

 ―地域への波及効果をどう見るか。

 町が目指す関係人口の創出につながるはずだ。当社のメルマガは、100万人以上が登録している。道内進出に当たり、今後も施設の情報発信を計画している。読者が町自体に興味を持つきっかけにもなるだろう。

 また、地域との関わり方は、大型ショッピングセンター出店だけにとどまらない。例えば、地方の生活圏を活性化する取り組みとして、移動販売バスの運行を試行している。近くに店舗がなくても生活用品などを手に取りながら購入できれば、人が集まって地方の活気を取り戻せる。

 ―今後の目標について。

 一度にたくさん建てることが目標ではない。住宅は完成してからも息の長い付き合いになる。知名度を上げるための大々的な広告は打たず、主に口コミで良さを広めてきた。根底には、住む人の暮らしを豊かにするという考えがある。道内でも地元密着でアフターケアが手厚い工務店との丁寧な家づくりを進めたい。

(聞き手・城 和泉)

 川内浩司(かわち・こうじ)早大理工学部建築学科卒。大手総合不動産会社を経て、2009年にMUJI HOUSE入社。無印良品の家の開発などに携わる。16年から現職。


深掘り 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 北海道水替事業協同組合
  • 古垣建設
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

4町で新設方針も 十勝管内で道の駅整備機運高まる
2022年11月10日 (4,355)
羽生結弦選手プロに
2022年07月21日 (4,251)
22年度上半期ゼネコン道内受注高ランキング 首位は...
2022年11月09日 (2,707)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (2,501)
帯広中心部の空洞化懸念 藤丸百貨店閉店に危機感
2022年11月11日 (1,958)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 行政書士 new
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第26回「ヒューマンエラー対処法」職場全体で予防する環境を構築することが多様な人材の活躍につながります。

連載 旧双葉幼稚園
建築から1世紀

旧双葉幼稚園建築から1世紀
旧双葉幼稚園園舎が完成から100年を迎えた。園舎の歩みと次の1世紀に向けた取り組みに迫る。

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第243回「感染拡大」。ワクチン効力低下も原因です。若い世代への接種督励を。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第26回「暖炉とマントルピース」。コミュニケーションを円滑にする仕掛けが潜んでいそうです。