深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り アイ・リンク 本間勝行社長

2021年09月28日 10時00分

本間勝行社長

「安心感」が会社の成長に

 電気設備工事を担うアイ・リンク(本社・札幌)は、本業の傍ら保育事業に参入した。2園目となる保育施設を1日に開設するなど、自社の福利厚生充実を図りつつ増加する待機児童の解消といった社会課題解決も目指す。本間勝行社長(51)に保育の考え方や取り組みを聞いた。

 ―保育事業に進出したきっかけは。

 当社は電気設備・通信工事を本業とする会社だが、自社の保育園を用意して子どもを預かれば、社員が安心して働けると思った。福利厚生の一環という捉え方だ。

 建設関連業種の担い手不足が叫ばれる中、直営保育園があれば、求職者に対するアピールポイントになり、待機児童を解消する社会貢献にもつながる。

 開設に当たっては、内閣府の企業主導型保育事業募集を活用した。2019年11月、札幌市白石区のJR平和駅前にオープンした企業主導型「あいりんく保育園北郷園」(RC造、2階、延べ197m²)は建設費1億円だったが、国から4分の3ほどの補助を受けている。制度により、異業種でも保育事業に参入しやすい環境が整っている。

 ただ、保育事業で大きな利益を出すのは難しい。幼児教育無償化などにより、年間収入の多くは国からのお金だ。運営費を引けばほぼ利益はない。

 ―保育事業の状況を。

 北郷園の定員は0―5歳の12人で、自社の社員と地域の子どもを預かっている。

 北郷園運営を通じて世間の保育ニーズを強く感じ、2園目となる定員50人の新さっぽろ園を開いた。8月中旬ごろからSNSで告知し、3分の1が埋まっている。地域住民を中心に毎日見学の問い合わせがある状況だ。

 10月には山鼻エリアに3園目の開設を予定する。定員の35人は集まりつつある。

 ―施設の特長は。

 認可保育園にはない環境づくりを念頭に置く。休園がなく、保育時間が午前7時台から午後8時台までと長かったり、看護師を配置して病児病後児保育を提供したり、働く両親から見て利用しやすい施設を心掛けている。

 教育内容にもこだわる。札幌市内の保育事業者から助言を受け、外部講師を招いての英語、音楽教育などに取り組んでいる。

 さらに新さっぽろ園は、学研(本社・東京)と提携している。教育業界とのつながりを増やしながら子どもたちが学んだり、成長したりするための下地づくりを進める。

 ―今後の展望について。

 本業で安定した実績を積み上げたい。それを実現するには、保育事業による社員の安心が必須になる。今後は認可保育園の運営も目指す。子どもを預ける親にとって「認可」保育園であるという安心感は重要だからだ。

 当社と保育施設共同利用契約を締結する連携企業の輪を建設業界に広めたい。連携企業になれば、割り引いた保育料で利用できるほか、各社の求人に「連携保育園有り」と記載することができる。選ばれる企業になるための材料になるのでは。

 生命保険会社など女性の多い職場と契約を結んでいる。当社の保育事業が、業界全体の人材確保につながることを期待している。

(聞き手・宮崎 嵩大)

 本間勝行(ほんま・かつゆき)1970年、小樽市生まれ。北照高卒業後、市内の通信事業者で営業などに従事。2007年に独立し、同社を立ち上げた。

(北海道建設新聞2021年9月21日付2面より)


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