深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 北海道労働金庫ローンプラザ 白川巧喜札幌地区住宅ローン推進本部長

2021年12月10日 18時00分

白川 巧喜本部長

住宅高騰 将来考え対話

 新設住宅着工が堅調に推移する中、住宅ローン市場で北海道労働金庫が存在感を高めている。住宅向けの貸出残高はことし3月末時点で前期比2.7%増の6690億円と、道内金融機関では北洋銀行、北海道銀行に次ぐ3番手に付ける。住宅価格が高騰する近年、融資はどんな影響を受けているのか。ローンプラザの白川巧喜札幌地区住宅ローン推進本部長(49)に聞いた。

 -住宅価格が上がっている。融資額も増えているのか。

 10年以上前なら融資額は1件3000万円前後が多かったが、近ごろそれでは足りなくなり、今では4000万、5000万円といった融資も全く珍しくない。私たちの中心顧客は企業・団体の従業員だ。日本の勤労者の所得が上がらない中では、相場がこれ以上になると住宅購入はできなくなる。

 宅地不足、ウッドショックなどで戸建てが値上がりしているが、マンションの高騰はそれ以上だ。札幌中心部の新築だと狭くても1戸5000万円、少し広ければ1億円超といった物件がよく話題になる。昔は「戸建ては資金的に無理だからマンション」と考える人が多かったが、「マンションが高いから戸建てへ」の流れが出てきている。

 -それでも全体的な住宅ニーズは強い。

 超低金利や住宅ローン減税の効果に加え、コロナ禍で家に対する意識が高まったことなど、いろいろな要因から足元は好況だ。低金利は金融機関には厳しいが、家を建てたい人にとっては良いこと。利息負担が少ないためか最近は20代前半でローンを組む人も多い。

 -貸し手としては、お金が戻らないリスクが高まっているのでは。

 リスクゼロの融資はない。そもそも労働金庫は、営利を目的にしないと法律で定められている。自分たちの利潤追求ではなく、住宅分野で言えば勤労者がマイホームを手に入れるための仕組みを提供するのが存在意義で、ここは一般の金融機関と異なる点だ。ビジネス向けの融資も扱っていない。

 -道内では地銀2行も住宅ローンを伸ばしている。どう差別化するか。

 マイナス金利政策の中ではどこを選んでも低金利で、もはや違いを打ち出せない。利用者に選んでもらうためには使い勝手の良さが重要だ。今私たちの主力となっているのが「住きっと」(すきっと)という商品で、例えば自動車ローンなど比較的高金利な借り入れを、住宅ローンと同じ金利で一本化できる。

 -ネット銀行が極端な低金利をPRして、利用者を増やしている。

 金利だけを追求するならネット銀行という選択になるのだろう。だが、返済完了までの長い期間にどんな相談事が発生するか分からない。対面でしっかり話を聞いて個別対応できる仕組みは、利用者から支持を頂けている。

 -新築が高い今、中古住宅を買ってリノベーションする人も増えそう。多くの住宅ローンは改装工事費に充てられず使いにくいと聞く。

 建物の購入費とリノベーション費をそれぞれつなぎ融資で用立て、後に一本化して返済してもらう仕組みが以前からある。もっとPRして広く使ってもらえるようにしたい。

 -中長期的な課題はあるか。

 少子高齢化、人口減少への対応だ。銀行や信金なら企業向け融資に注力する選択肢もあるが、労金の利用者は個人。顧客に対するコンサルティング力を高めることが重要になる。住宅購入は人生の一大イベントだが、それ以外にも車の購入、リフォーム、または資産運用などお金に関わる相談事、悩み事は出てくる。さまざまな場面で役立つパートナーとして、働く人々の力になりたい。

(聞き手・吉村 慎司)

 白川巧喜(しらかわ・こうき)1972年6月、夕張市生まれ、96年北星学園大卒、札幌銀行(当時)入行。2003年に北海道労働金庫入庫。20年4月から現職。

(北海道建設新聞2021年12月6日付2面より)


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