深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 全日計 渡辺隆臣社長

2022年02月17日 12時00分

渡辺隆臣社長

人材と技術を磨き上げる

 危険物施設の設計・施工・保守を担う全日計(本社・北広島)は、道内のM&Aや石油配送などの展開で、既存事業を強化する考えだ。脱炭素化による世界的な化石燃料の需要減など取り巻く環境変化への対応が問われる中、渡辺隆臣社長(45)に展望を聞いた。

 ―事業の現状と今後の見通しを。

 石油施設用タンクなどの設計施工、保守が中心。ガソリンスタンドなどエネルギー関連事業者からの受注が7割で、ビルや病院、マンションなどの燃料タンクに関する受注が3割ほど。近年は省力化のためのガソリンスタンドセルフ化や石油配送拠点の新設が著しく、工事のニーズは伸びている。一方、世界的な脱炭素の動きがあり、将来的に化石燃料の需要は落ちるだろう。この需要減をカバーするため、M&Aに向けた協議を進めている。営業エリアの拡大や保有設備の有効活用などの相乗効果を見込む。

 ―どのように既存事業を強化するのか。

 石油配送を積極的に進めることで、既存事業の受注先の裾野を広げたい。北広島は北海道日本ハムファイターズのボールパークを起爆剤に建設ラッシュが続き、しばらく現場からの燃料需要が途切れないだろう。その半面、タンクローリーの配送員は人手不足だ。人が増えないため、配送拠点を増やして回転数を上げているほどだ。

 当社は、タンクローリーに乗れる人材が多いため、石油配送会社から業務委託の要望が届く。建設現場などへの配送を担えれば、今まで付き合いのない事業者との関係構築も期待できる。配送に力を注ぐことで、結果的に既存事業である石油タンク設置工事の受注につなげたい。

 ―エネルギー業界はガソリン価格の値上げなど逆風が強い。

 当社で設計施工している自家用給油スタンドを売り込む好機になるかもしれない。自家用給油スタンドは、バス会社や運送会社、レンタカー店などから受注している。

 自家用給油スタンドを持っていれば、元売りから石油を配送できるため、1㍑当たりの価格がガソリンスタンドの店頭価格より安くなる。使用量が多い業種なら2年ほどで設置コストを回収できるとも聞く。近年は、建設機械を取り扱う会社などからの引き合いも強まっていると感じる。

 ―4月に同じ市内の新社屋に移転する狙いを。

 現在は本社と資材置き場、駐車場がばらばらだが、新本社には全てが集約され、業務の効率化が見込める。加えて、これからの会社を担う「人」を育てる設備も併設できれば。当社の資材庫に眠る古いタンクや機材を活用し、社員が保守・点検作業を日常的に訓練できる環境を整えたい。

 危険物取り扱い施設の保守は作業員の高齢化が著しく、脱炭素の流れなどもあり、若者から魅力的に映る職業ではないと認識している。人手不足によって廃業に追いやられるシナリオもあり得る。日々のメンテナンスは重要で、顧客のトラブルにも速やかに対応しなければならず、技術力も求められる。会社として何をするにも人と技術力の確保が要だ。新本社は働き手にとって魅力的な施設にしたい。

(聞き手・宮崎 嵩大)

 渡辺隆臣社長(わたなべ・たかとみ)1976年8月生まれ、埼玉県出身。95年に室蘭工高卒業後、トキコ東メンテナンスに入社。2004年に創業メンバーの1人として全日計に入社。21年2月から現職。

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