本間純子 いつもの暮らし便

 アリエルプラン・インテリア設計室の本間純子代表によるコラム。

 本間さんは札幌を拠点に活動するインテリアコーディネーターで、カラーユニバーサルデザインに造詣の深い人物。インテリアの域にとどまらず、建物の外装や街並みなど幅広く取り上げます。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第2木曜日に掲載しています)

本間純子 いつもの暮らし便(20)いつもの小掃除

2022年05月12日 09時00分

 小学校の時「雑巾の絞り方がうまい」と、先生に褒められたことがありました。雑巾の絞り方にうまい下手があるとは、考えたこともありませんでしたが、確かに、同級生の雑巾の絞り方はさまざまで、ちょっと面白いなと思いました。

 私は右手が手前、左手は向こう側、雑巾は縦方向で、それぞれを内側にねじります。同じ縦方向でも、左手が手前、右手が向こう側の人もいます。雑巾を体に平行にして絞る人や、絞るというより両手でギューッと押して水を出す人もいます。

 雑巾を絞るという動作に、こんなにバリエーションがあるのは驚きでした。それぞれのやり方で絞ってみましたが、いつもと違う筋肉を使っているのがわかります。テレビドラマで雑巾かけのシーンがあると、ドラマの筋立てはそっちのけで、絞り方に注目してしまいます。私と同様の縦の絞り方(手前が右であっても左であっても)は意外と少なく、初お目見えの絞り方に出会うと、その複雑さに「録画したかった」と思います。

 4、5年生の頃でしたか、掃除の仕方の授業がありました。「当たり前のことを、わざわざ授業で?」と、少し斜に構えて先生の話を聞いていました。「掃除は鴨居(かもい)など高いところからはたきをかけ、障子は組子の高い位置から低い位置に順にかける。床に落ちたちりやほこりをほうきで掃き集める。固く絞った雑巾で床を拭く」といった内容でした。〝固く絞った雑巾〟は必須で、その延長でお褒めの言葉を頂戴したのかもしれません。

 今の小学生はどのような掃除の仕方を学ぶのか、小学生向けマナー事典を開いてみると、はたきは登場していませんでした。ほうきはほこりをたてないよう静かに掃き、雑巾は固く絞り、ぬらした雑巾のほか不織布製の乾いた雑巾の使い方や掃除機のかけ方も書かれています。

 昔の道具事典には、100年以上前からの道具として、はたき、ほうき、ちりとりが並び、ほうきの進化系として平成生まれの床用お掃除ロボットが紹介されています。

 はたきをかけて舞い上がったほこりは、なかなか床に着地してくれません。ハウスダストアレルギーの私は、この「はたきをかける」が何より苦手です。掃除機が強い味方と考えていましたが、排気で舞い上がるほこりは止められず、長いこと苦戦をしました。でも掃除の手順を変えることで、気持ちよく掃除ができるようになりました。

 ほこりをたてないように不織布雑巾で拭き取り、同様の不織布をセットしたモップでちりやほこりを1カ所に集めます。それを掃除機で吸い取り、幅木周りに掃除機をかけるのが通常コース。加えて、固く絞った雑巾で仕上げると、私流スペシャルコースの完了です。

 私の場合、掃除機も不織布雑巾も、試行錯誤の結果の使い方です。掃除を含めた家事は、一人一人に合った方法を見つけるのがストレスフリーの第一歩。スマホをカスタマイズして使いやすくするように、掃除も手順や道具を見直してみると良いかもしれません。いつもの暮らしをキープする快適な方法が、きっと見つかるはずです。


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