
川村裕二社長
コロナ禍の「先」見据え
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ホテルを中心に不動産開発の計画見直しや中止の動きが出始めている。アルファコート(本社・札幌)は、2月に相鉄ホールディングス(同・横浜)が出店するススキノのホテル新築に着工したり、レジデンス向けの用地取得を積極的に進めるなど攻めの経営を展開。ビジネス範囲を広げるため建設業への本格参入なども模索する。同社の川村裕二社長に将来ビジョンを聞いた。
―ススキノのホテル計画を進めた経緯を。
相鉄HDの事業計画では、開業予定の2022年夏には、ある程度コロナが収束して運営できるという見通しを立てていたため、着工を決めた。札幌に相鉄ブランドのホテルを出店したいことから、2年前から両社で話し合ってきた。市内複数のエリアで敷地を提案したが、その中で地下鉄東豊線豊水すすきのの出入り口が目の前にある土地を気に入ってくれた。相鉄グループの相鉄ホテル開発(同)に賃借する。客室200室で、観光やビジネスをターゲットとしている。
―コロナ禍の影響でホテル開発に対して金融機関の融資は難しいと聞く。
20年3月の段階でメガバンクからの28億円分の融資が確定した。コロナ禍において、ゼネコンからすれば工事費の支払いができるのか不安はあると思うが、金融機関がバックアップしてくれたことで、安心してもらえたのではないか。
―これまでホテル開発を進めてきたが、今後の展開は。
道内で不動産デベロッパーをやるのであれば、観光産業は切っても切れない。人口減少が進んでいるだけに、住宅の単価や入居率が上がるわけではない。これは商業施設や事務所ビルも同じで、そういう環境になるだろう。だからこそ、観光にも密着しないと成立しないと思う。
観光における北海道ブランドは思った以上に東南アジア系からの意識が強い。今はこういう状態だが、コロナが収束すれば再び投資も活発になっていろんな事業計画の話が出るのではないか。弊社としては今後も縁があればホテルオペレーターと事業を考えたい。
―コロナ禍、どのような不動産投資を考えているのか。
レジデンスを中心に投資を進める。土地は仕込んでいて、春には賃貸物件10棟ほどに着工する予定だ。今後は物流施設を含めて開発の幅を広げたい。土地についてはまだまだ取得しようと思う。
―具体的な手法は。
当社グループは、保有不動産による年間収入約40億円のうち15億円が〝真水のキャッシュ〟として創出される。この原資を基に、不動産買収と開発を積極的に進めたい。
帯広の再開発事業は順調に進捗している。今後も道内のみならず道外地方都市での再開発や官民連携施設、建て替えなどに取り組む。
さらに開発を内製化できるよう設計事務所、建設、解体の企業をM&Aなどで迎え、建設業に本格参入し、不動産開発に関わる周辺ビジネスを広げたい。
(聞き手・武山 勝宣)
川村裕二(かわむら ゆうじ)1961年8月21日生まれ、積丹町出身。明治大工学部卒。本州大手デベロッパーを経て2006年に社長就任。
(北海道建設新聞2021年2月5日付2面より)
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