深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 中山組 滝沢秀樹専務

2022年05月27日 12時00分

滝沢秀樹専務

PKS輸出、将来は欧州へ

 中山組(本社・札幌)は、バイオマス燃料事業で海外展開を強めている。グループ会社を通じてマレーシアで日本の商社向けに現地産のパームヤシ殻(PKS)を輸出。インドネシアにも拠点を設け、扱い量を増やそうとしていて、将来的にはヨーロッパへの輸出にも目を向ける。PKS事業の推進役を務める滝沢秀樹取締役専務執行役員に事業動向や今後の展望を聞いた。

 ―工場設備コンサルタントのKANZAI社(本社・札幌)との共同出資でマレーシアに法人を設立して2年。状況はどうか。

 昨年12月にPKS1万tを初めて日本に輸出した。現地法人DAYA SYNERGY BORNEO(ダヤシナジーボルネオ、以下DSB)とパートナー会社の共同で、ボルネオ島北部にあるコタキナバル市の港から送った。DSBがノウハウを蓄積したため、今年から本格稼働できると思っている。7月には、PKS工場がある別の市から1万tを出荷する予定。日本向けに年間3、4回を計画している。

 ここ2年くらいは工場整備の設備投資や輸出用PKSの購入などで出費が続いた。今後はこうした費用が減るため収支は上向く予定だ。

 ―インドネシアでも新たな展開を見せているが。

 昨年、インドネシアのサマリンダ市でPKS供給会社Hokkaido Kalimantan Energi(ホッカイドウ カリマンタン エナジー)を設立した。北大を卒業したインドネシア人夫婦とDSBが共同出資した会社だ。当初からインドネシアでPKS事業を考えていたため、マレーシアの経験が実を結んだ。

 PKSは地元のパーム農園から調達する。年間30万tのPKSを排出していて、うち自社で使用しない20万t分を譲り受ける約束をオーナーと交わした。

 当面はインドネシア国内向けに供給する。なぜならロシアのウクライナ侵攻を背景に石炭が高騰していて、これに連動する形でPKSの国内需要が高くなっているからだ。将来的にはマレーシアのタワウ工場に運び、日本に輸出しようと考えている。将来的には木質ペレットの取り扱いも検討したい。

 ―海外事業が順調に広まりを見せている。その理由は。

 言語が堪能で現地の世情に精通した人材が仲間にいたことが大きい。さらに、世界的にカーボンニュートラルを目指す動きがあるなど、PKS事業が世界情勢に合っていたことで長期計画が見込めるものになっている。条件がそろっていたことで各国にうまく進出することができたのだろう。

 ―ロシア情勢は事業に影響しているか。

 世界各地で旧来の燃料が高騰し、PKSの需要は高まっている。北スマトラPKS協会の会長と面会した時、東欧のポーランドへの輸出事業に誘われた。PKS4万tを調達したいという話があり、協力することにした。ヨーロッパはロシアからのガスが止まったことで燃料不足に陥っている。カーボンオフセットの先陣のEUとしては今更、石炭をたくわけにいかない。PKSは持続可能な木質燃料なだけに今後、EU圏もマーケットの対象になるだろう。

 ―海外事業の展望を。

 PKS事業は海外進出の根幹であるが、枝葉が主流になることだってある。インドネシアにはさまざまな貿易のやり方があるため、関係する事業の情報を通じて次のステップに進みたい。例えばインドネシア国内で北海道ブランドは強く、売り物はたくさんある。当社も1月に中山茂社長が正式に名誉領事に就任するなど、同国との関わり合いが多くなった。北海道との貿易に寄与できるような役割を果たしたい。

 (聞き手・武山勝宣)

 滝沢秀樹(たきざわ・ひでき)1955年12月25日生まれ、当別町出身。苫小牧高専卒業後、1976年4月に中山組に入社。2021年3月に現職。自ら主催する社内勉強会「ぷら村塾」が、5月で109回目を迎えた。

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